入れかわりクラスカースト
「服を脱いだら許してあげる」
「そ、そんな…」
「ちゃんと下着もね」
逆らうことを許さない口調で、美香が言った。
カーストトップの絶対的な命令。
「早く脱ぎなって!」
まどかが私の制服を引っ張る。
「はい、皆んなも盛り上げてよ!」
カンナが周りのクラスメイトをあおると、誰からともなく『脱ーげ!』というコールが始まった。
異様に盛り上がる教室。
「私の財布を盗ってないんなら、脱げるでしょ?」
『脱ーげ!』
「私が脱ぐの手伝ってあげようか?」
『脱ーげ!』
「これはバズっちゃうかも!」
『脱ーげ!』
「脱ぐまで終わらないわよ?」
さっきまでとは打って変わり、優しい声で私に微笑みかける美香。
私は盗っていない。
でもカースト底辺の私の言葉は、なんの力もない。
服を脱いで潔白を証明するしかないんだ…。
激しく震える手で、私は制服のボタンに手をかけた。
ここで真っ裸にならないと。
それしか私に残された手は──。
「おい、やめろ!」
それは、クラス委員の秋元優作だった。