入れかわりクラスカースト
「お前ら、もういい加減にしろって!」
そこでようやく『脱げ』の大合唱がやんだ。
「奥田は盗ってないって言ってるだろ!そこまでする必要があるのか?」
「でも絶対に夕子しかいないし!」
まどかが反論する。
「それじゃ、もし奥田が服を脱いで何もなかった場合、お前たちは奥田に謝罪するんだろうな?」
「別に謝ってやるわよ」
「奥田を裸にするんだ。それなら土下座くらいしないと割りに合わないけど?」
「土下座って…」
「それにお前、誰に許可を得て撮ってる?」
指を差されたカンナは、スマホを持ったまま固まった。
「皆んなも一回、落ち着こう。いくらなんでもこれはひどすぎないか?」
優作の言葉に、ざわつきが引いていった。
「もういいわ、また買ってもらうから」
そう吐き捨て、美香が行ってしまう。
そのあとを、まどかとカンナが慌ててついていく。
皆んなは私への関心を失い、すぐに教室は元の空気に戻った。
「大丈夫か?」
「あ、ありがとう」
「気にするなよ」
優作も自分の席に戻っていく。
その後ろ姿を、私はずっと見つめていた──。