入れかわりクラスカースト
「はい、持ち物検査をします!」
服部先生の言葉に、クラスから非難の声が上がる。
「スマホは没収するから!」
「マジかよ!」
早速スマホを取られた男子はでも、明るく反抗しているだけだ。
すぐに私の番になった。
机の上に置いたカバンを、先生が覗き込む。
なにもまずい物は入っていない。
スマホなんて買うお金はないし、本当はメイクとかも興味はあるけどお金が──。
「──これは何?」
「えっ!?」
「これ、城崎さんの財布じゃないの?」
先生が私の目の前に突き出すのは、とても高そうな財布だった。
もちろん、私に身に覚えはない。
「私、知りま──」
「私のです!」
城崎美香が凄い剣幕で立ち上がった。
「ママに買ってもらった財布です!」
「うわぁ、パクったんだ?」
まどかが顔をしかめる。
「夕子、貧乏だもんねー」
カンナがスマホを向けて「はい、謝罪動画」と笑う。
「私、本当に知りません!」
「知らないわけないでしょ!この泥棒!」
カーストトップの美香の言葉に、教室内は『泥棒コール』で埋め尽くされる。