入れかわりクラスカースト
優作が、私に声を掛けてくれた。
私のことを、気遣ってくれたんだ。
「ごめん、止められなくて」
「な、なんで謝るの?」
「あそこで止めても、逆効果だと思った。でも止めないとダメだったな」
悔しそうに顔を歪める。
私のために、こんな私のために…。
「おい、泣くなよ」
「わた…しっ」
「ん?」
「わたしっ…盗ってない」
悔しさが、涙となってこぼれてくる。
止めようとしても逆に溢れ出てくるんだ。
「俺は信じるよ」
「ううっ…」
「俺は信じるから」
そう言って、優作がそっと私を包み込んでくれた。
その胸の中で、私は泣き続けた。
これまでの痛みをすべて吐き出すように。
受け止めてくれるひとがいる。
抱きしめてくれるひとがいる。
信じてくれるひとがいる。
ずっと闇にいた私の、小さな光。
その光にしがみつくように、私は泣いた。
「──少し落ち着いたか?」
「うん、ごめんなさい」
「謝るなって」
いつも謝っていた私。
私に許された言葉は『ごめんなさい』だけだから…。
「──ありがとう」