入れかわりクラスカースト
「奥田!」
いきなり名前を呼ばれて、振り返る。
少し先に、優作がいた。
私に光を与えてくれる、唯一の希望。
でも光は、影をより浮き上がらせてしまう。
私は逃げるように駆け出したが──。
「どうしたんだよ!」
強く腕を掴まれる。
「俺にはなんでも話せって」
「でも…」
「俺は味方だから!」
そう言う優作は、あまりに眩しすぎて…。
堪えきれずに泣き出した私は、優しく手を引かれ教室に入った。
誰もいない教室。
2人だけの空間だ。
「泣きたいだけ泣けよ。俺が胸を貸すから」
「…うん、ありがとう」
柔らかく抱きしめられる。
それはカースト底辺の私に訪れた、とんでもない奇跡だ。
恋なんて、カーストトップに与えられた特権。
ブスで陰気でいじめられている私に、声を掛けてくれる男子がいるなんて。
しかもその男子は、私のことを強く抱きしめてくれる。
「あ、秋元くん…」
少し息苦しくて呟くと、優作が体を離して言った。
「優作って呼んでくれない?俺も夕子って呼ぶから」
「ゆ、優作っ…?」
「夕子…好きだよ」