入れかわりクラスカースト
痛いのは、最初だけ?
なにを言っているのか分からない。
答えを求めて振り返ろうとした時、母がドンっと私の背中を強く押した。
そのまま母親の部屋に転がり込む。
「あんたはこれくらいしか役に立たないのよ」
そう言って、襖(ふすま)をピシャリと閉めた。
薄暗がりの中、すぐにお酒の匂いが鼻をつく。
それだけじゃない。
お酒だけなら、いつも母の周りに漂っている。
でもこの匂いは…少し酸っぱい、あまり嗅いだことのない匂い。
だ、誰かがいる!
慌てて立ちあがろうとした私の上に、その誰かが覆い被さってきた。
「やっぱり若いほうがいいなぁ!」
それは、母と付き合っている男だ。
小太りで脂ぎった男が、私の体を弄り始める。
「いっ、いや!」
「暴れるんじゃねーよ!」
「やめて!」
「お前は母親に売られたんだよ!」
頬を叩かれた。
その痛みよりも私を動かなくしたのは、男の言葉だ。
薄っすら分かっていたけど、どうしても認めたくなかった事実。
私は、お母さんに売られたんだ。
それくらいしか、役に立たない存在だから。