入れかわりクラスカースト


「処女なんて久しぶりだ!」


鼻息荒く、男が私の首筋に顔を埋める。


体に虫が這いまわっているような気持ち悪さだ。


「お、お願い、やめて!」


「やめるかよ!高い金を払ってんだ!」


「いやっ!」


必死に抵抗するけど、男の力には敵わない。


その時、暗がりに一筋の光が差した。


お、お母さん!?


わずかに開いた隙間から、母が目を覗かせる。


「お母さん、助けて!」


私が声を上げると、男の力が一瞬だけ緩んだ。


力の限り、抵抗する。


「あっ、待ちやがれ!」


掴み掛かろうとする男の手を振り切り、私は襖に突進した。


あ、開かない!?


「お願いだから、お母さんの言うことをきいて!


外から母親が押さえてるんだ。


生贄が逃げ出さないように。


「お母さん…」


「それで借金がなくなるんだから!」


そんな言葉に、力が抜け落ちていく。


「あんたが我慢さえすれば──」


「お母さん!」


私が叫ぶと、母が少しだけ襖を開く。


そこから見つめる目は、怯えていた。


「──夕子?」


「……ゃない」


「えっ?」


「あんたなんか、お母さんじゃない!」


私は家を飛び出した。



< 52 / 198 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop