入れかわりクラスカースト
「処女なんて久しぶりだ!」
鼻息荒く、男が私の首筋に顔を埋める。
体に虫が這いまわっているような気持ち悪さだ。
「お、お願い、やめて!」
「やめるかよ!高い金を払ってんだ!」
「いやっ!」
必死に抵抗するけど、男の力には敵わない。
その時、暗がりに一筋の光が差した。
お、お母さん!?
わずかに開いた隙間から、母が目を覗かせる。
「お母さん、助けて!」
私が声を上げると、男の力が一瞬だけ緩んだ。
力の限り、抵抗する。
「あっ、待ちやがれ!」
掴み掛かろうとする男の手を振り切り、私は襖に突進した。
あ、開かない!?
「お願いだから、お母さんの言うことをきいて!
外から母親が押さえてるんだ。
生贄が逃げ出さないように。
「お母さん…」
「それで借金がなくなるんだから!」
そんな言葉に、力が抜け落ちていく。
「あんたが我慢さえすれば──」
「お母さん!」
私が叫ぶと、母が少しだけ襖を開く。
そこから見つめる目は、怯えていた。
「──夕子?」
「……ゃない」
「えっ?」
「あんたなんか、お母さんじゃない!」
私は家を飛び出した。