入れかわりクラスカースト
屋上には闇が広がっていた。
フェンスを掴んで、乗り越える。
ここから一歩を踏み出せば──すべてが終わる。
遺書を残せば良かったけど、きっと揉み消されて終わるに違いない。
美香たちだけじゃなく、先生だってグルだ。
私が死ねばダメージを負うのは、先生だけかもしれない。
教師のくせして、私を助けてくれなかった。
結婚前に少しでも傷を負わせることができる。
でもそれも、死んでしまえば分からない。
なにも分からないんだ…。
その時、スゥーっと涙が頬を伝った。
なんの涙だろう?
悔しいから?
私は何も悪いことはしていない。
それなのに人として扱われず、痛めつけられるのが悔しいから?
それとも悲しいから?
これまでの自分の人生を振り返って、その意味が見出せない悲しみ。
命と引き換えじゃないと、苦しみからは逃れることはできない。
だから涙が流れるの?
私は、死にたくないの?
死ねば苦痛から解放されるというのに。
私はどうして泣いているの?
号泣するでもなく、嗚咽を上げるでもない。
それは静かな涙だった。
私は、死にゆく私に泣いてるんだ。
私が死んで悲しむのは、私しかいないから。
さようなら、私。