入れかわりクラスカースト
み、美香!?
いや、私の顔をした『美香』が、物凄い形相で私を睨みつけていた。
「あんたの仕業でしょ?なんでこの私があんたなんかに!」
「は、離して!」
「早く元に戻しなさいよ!」
「でも…」
「早く戻せって!」
あまりの剣幕に、足が震える。
入れかわったことを美香に責め立てられると思うと、身がすくむ思いがした。
「夕子のくせに!」
ツバを巻き散らかして詰め寄ってくる、私。
今、目の前で怒りに顔を歪めているのは、正真正銘の『私』だった。
ずっといじめられ、底辺を這いつくばり、頭を踏みつけられてきた__奥田夕子。
そして今、私はその夕子を見つめ返している。
カーストトップの、城崎美香として──。
「離してよ!」
思い切り突き飛ばすと、私の姿をした美香が派手に尻もちをつく。
信じられないといった様子で目を見開くと、すぐさま飛びかかってきた。
「夕子のくせに許さない!」
「ゆ、夕子はあんたじゃない!」
私が言い返すと、美香が腕を振り上げる。
「私は美香よ!私は──」
「ちょっと!?」
そんな声とともに、美香が吹っ飛んでいった。