入れかわりクラスカースト


み、美香!?


いや、私の顔をした『美香』が、物凄い形相で私を睨みつけていた。


「あんたの仕業でしょ?なんでこの私があんたなんかに!」


「は、離して!」


「早く元に戻しなさいよ!」


「でも…」


「早く戻せって!」


あまりの剣幕に、足が震える。


入れかわったことを美香に責め立てられると思うと、身がすくむ思いがした。


「夕子のくせに!」


ツバを巻き散らかして詰め寄ってくる、私。


今、目の前で怒りに顔を歪めているのは、正真正銘の『私』だった。


ずっといじめられ、底辺を這いつくばり、頭を踏みつけられてきた__奥田夕子。


そして今、私はその夕子を見つめ返している。


カーストトップの、城崎美香として──。


「離してよ!」


思い切り突き飛ばすと、私の姿をした美香が派手に尻もちをつく。


信じられないといった様子で目を見開くと、すぐさま飛びかかってきた。


「夕子のくせに許さない!」


「ゆ、夕子はあんたじゃない!」


私が言い返すと、美香が腕を振り上げる。


「私は美香よ!私は──」


「ちょっと!?」


そんな声とともに、美香が吹っ飛んでいった。







< 79 / 198 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop