入れかわりクラスカースト
「そんなこと、教師がする必要ないでしょ?あなた教員をなんだと思ってるの?」
顔を輝かせて、詰め寄ってくる。
ああ言えばこう言う、典型的なお局だった。
OLじゃあるまいし、まさか学校でこんなネチネチした嫌がらせをされるとは…。
「もう結婚するからって、手を抜いてもらっちゃ困るわ!」
「そんなことは…」
「あなたが適当な仕事をすると、生活指導の私の責任なの!」
めくじらを立てる田所の言葉なんて、私の耳を軽々と通り抜けていく。
男がいない腹いせに、もうすぐ結婚する私のことを妬んでいるだけ。
痛くも痒くもない。
「気をつけます」とだけ言って、さっさとその場から逃げ出した。
まだなんか言っていたようだけど、もうどうでもいい。
今年度で最後だ。
その前に、見せつけてやるように結婚式をする。
『先生、結婚したんですか!?』
なんていう、生徒たちのざわめきを思うだけで、胸が高鳴るというもの──。
「せ、先生!」
いきなり目の前に飛び出してきたのは、さっきも話に上がった奥田夕子だった。
「奥田さん、授業中でしょ?」
「わ、私は奥田じゃない!城崎美香です!」
「またか…」
私はぼそっと呟いて、盛大なため息をつく。