入れかわりクラスカースト

とりあえずメイクは落とした。


でも、髪の毛も制服も濡れている。


とても教室には戻れない。


笑われるのが分かっていて、戻る勇気は私にはなかった。


もう少ししたら保健室に行こう。


しばらくトイレの便器に座り、考える。


どうしてこうなったんだろう？


始まりは中2になった頃。


美香たちと同じクラスになり、でもまだ私はカースト底辺ではなく、友達だって何人かいた。


その友達が、美香たちに目をつけられていじめが始まったんだ。


そして私は、それを止めてしまった…。


『じゃ、これからはあなたが代わりね』


美香がそう言って、微笑んだ。


それが地獄の始まりで…カーストの底に叩き落とされた私を、友達は誰も助けてはくれなかった。


それからずっと、イジメられている。


親にも相談できないし、誰も助けてくれない。


誰も…。


ようやくトイレを出て、廊下を歩く。


誰もいない廊下は、心が安らいだ。


私にぶつかってきたり、悪意ある言葉を投げつけられることもない。


保健室への角を曲がる。


「──奥田さん？」


ちょうど前からやってきたのは、担任の服部咲子だった。