入れかわりクラスカースト
『いい加減にしてよ!』
『生活指導の田所先生に言われたわ、いじめがあるんじゃないですか?ってね!』
『しらばっくれないで!あなたの様子がおかしかったって。まさか自分がいじめられてるって言ったの?』
『あなたが気づかれるよう振る舞ったのよ!おとなしくいじめられていればいいのに』
ボイスレコーダーから垂れ流される、教師にあるまじき暴言。
「さ、咲子?これって君の声じゃ…?」
新郎が訝しげな顔を向けてくる。
「こ、これは私じゃないわ!」
私は金切り声で否定した。
そうだ、認めなければいい。
私は『生徒思いの先生』で通っている。
あの子が私を困らせるために悪戯をしているのだと、周りに思い込ませることができたら…。
「きっと声を加工して──」
「いいえ、これは間違いなく服部先生!あなたの声です!」
空気を切り裂くような声を響かせたのは、田所だった。
「私、確かに服部先生に言いました。あなたのクラスにはいじめがあるのではないか?と。この声は、服部先生に間違いありません!」
親の仇を討ち取ったような田所が、ほくそ笑む。
私の結婚式で、勝ち誇った笑みを浮かべている。
しかし、地獄はまだ始まったばかりだった…。