愛の距離がハカレナイ
「前の武田さんらしさがない。」

大きな溜息をつく南川課長は男の色気を振りまく。

会社ではその辺は私の計算通りのようだ。

でも家へたどり着くと、私はいつも疲れ切っていた。

祐介の隣にいた時には感じなかった、人との付き合いに伴っただるさが全身を襲うようになっていた。

「どうしたんだろうな、私。」

30代を迎えた私だからこそ、こういう現象が起こるものなのだろうか。

「祐介はどうしているのかな。」

こんな時つい思うのは祐介の姿。

きっとそばに居たら、こんな風に悩んでいる私の愚痴をせっせと聞いてくれるのだろう。

祐介に話すという事は、私にとってかなりな影響を及ぼしていたらしい。

「早くこの状況に慣れなくちゃね。」

私はスマホを眺めながら、ストレッチを始める。

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