愛の距離がハカレナイ
「あっ…、はい。」

仕事の合間にこうやって私的な話題が入り、私に対しての優しい気遣いが見て取れるようになったのだ。

何かと私自身の事を聞かれるようになったのだ。

私の全般的な好みもいろいろと聞かれ、その延長として好き嫌いがない事もすでにリサーチされた。

私は自分のデータをこの短い期間でどれだけ南川課長にさらけ出したんだろう。

祐介には長い時間を掛けて、それも自然に伝わっていった事を、南川課長には、急速に半強制的にそう仕向けられているように感じる。

正直、私は戸惑っている。

「どうした?緊張しているのか?」

南川課長にそう問われて、私は自分の中に入り込んでいた事にハッとさせられた。

「やはり、この交渉の後に武田さんに伝えるべきだったかな。」

南川課長はふっと笑う。

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