愛の距離がハカレナイ
私は天を仰ぐ。

「まるで品定めでもされている気分だった。」

「周りから固められていったらどうするの?会社だって、南川課長と阿里が結婚でもしたら大喜びだろうし。」

「何それ?」

「会社に二人とも留めて置けるって一石二鳥だって、そんな事を言っている上の人たちもいるのよ。」

香澄は更に声を落とす。

「南川課長が手柄を阿里に譲ったって、別の意味でも騒ぎになっているのよ。」

「そんな風に思われているんだ‥。」

何でも新しい試みは注目を浴びるのは分かっているつもりだった。

だから目に見えた成果も必要だと感じていた。

「それだけ今の南川課長の様子がいつもと違うって事なんでしょうね。」

私が考えているより、もっと周りは過敏になっているって事か。

「でもこんな感じでは、はっきりと南川課長に断りにくくなっていくわよね。」

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