愛の距離がハカレナイ
水島のホッとしたようなその様子に、私は自分の胸の音が聞こえてしまうのではないかと思った。

「阿里、顔を見せて。」

水島の言葉に、おずおずと顔を上げた。

顔に熱が集まって、もうどうにかなりそう。

「どうしよう、もう離したくない…。」

そんな水島のセリフがはっきりと聞き取れたかどうか分からないうちに、また水島の唇が私を襲う。

さっきのキスは優しくて、こちらを伺うような感じだった。

でも今度は…。

その激しさにくらくらする。

水島ってこんなに情熱的だったんだ。

いつも話していて、もっとあっさりとした奴だと思っていた。

香澄と私の話を茶化しながら、でも時に冷静な良いアドバイスをくれて‥。

「大切なものはこんなに近くにあったんだ。」

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