愛の距離がハカレナイ
何だか無性に腹が立ってきて、私はシーツをぎゅっと掴む。

「違う。阿里、それは‥。」

私は祐介に背を向けて、起き上がった。

「それなら私の事が信じられないって事なのかしらね。」

慌てて起き上がった祐介が私の背後から私の手首を掴んだ。

この怒りをどこへ持って行ったら良いのか…。

そう思いながら、私は祐介の手を振り払う。

「やっぱり祐介とは‥、水島とは同期のままでいた方が良いのかもしれないわね。」

私は大きな声を上げていた。

「阿里‥、ちゃんと聞いてくれ。」

「そんな必要はない。」

水島は今までの付き合いで、言い出したら引けない可愛げのない私の性格をよく知っているはず。

祐介の腕が私のお腹に回った。

< 29 / 155 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop