愛の距離がハカレナイ
しかし…、何故かその後の指示がなく、黙ったままだ。

「あの…、南川課長?」

「あっ、申し訳ない。」

そう言いながらも南川課長のその指示にはいつもの切れがない。

「あの…、ここをこの言葉に変えるのなら、こちらもそう合わせた方が良さそうですよね?」

何だかうわの空の南川課長がはっとしたようだ。

「…そうだな…。とりあえずそれを仕上げてくれないか。その後、もう一つしてほしい作業がある。出来上がったら声を掛けてくれないか。」

「はい。」

私に向けた南川課長の背に私は何気に声を掛けた。

「南川課長、体調でも悪いのですか?もしそうでしたら…。」

こちらを振り返った南川課長の顔がみるみる赤くなった。

「南川課長…?」

「いや、何でもない。とにかくそれを頼む。」

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