愛の距離がハカレナイ
見送った南川課長を眺めながら、私は首をかしげた。

「いつもの南川課長と違うな。」

私がそう独り言をこぼすと、香澄がこちらを伺って来た。

「私達の話、聞こえちゃったのかしら?」

「えっ?」

「だって南川課長、珍しく動揺していなかった?」

「そうかな。それより熱の出始めで、顔が赤いのかなって思ったんだけど。」

お互いそれで話を打ち切って、仕事を開始した。

でも…、おかしい。

どこからかやたらと視線を感じる。

気のせいかもしれないので、私は周りを眺める事もなく黙々とパソコンに向かう。

一度目を上げた時に視線が合ったのは、外回りから戻って来た祐介だった。

何か言いたげな祐介の表情に、何だか恥ずかしくて思わず目を伏せてしまった。

「武田さん。」

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