愛の距離がハカレナイ
「ん?」

私は武田阿里(たけだあさと)30歳。

同期の香澄と水島は入社以来気の合う仲間としてやってきた。

時には慰め合い、時には励まし合い‥。

だからはっきりと水島の事を好きだと自覚した事はない。

そばに居て当たり前だったし、水島と二人っきりで会った事はなかったからだ。

「あれ?香澄、それはどういう事?」

「何言っているのよ、阿里は水島の気持ちに気が付いていなかったの?」

そしてこちらに顔を向けた香澄は怪訝そうな表情を見せた。

「阿里‥、自分の気持ちにも気が付いていなかったとか?」

「…自分の気持ち…?」

「鈍いな、阿里は。」

「ええ~、香澄には言われたくない。」

そんな香澄は私にウインクした。

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