愛の距離がハカレナイ
「そうか。」

南川課長はただそれだけの返事をして、黙りこくってしまった。

「南川課長?」

少しの間をおいて、私は課長を呼んだ。

はっと我に返ったように見えた南川課長はふっと私の顔を見た。

「ではまずは同行してもらおう。戻り次第、残っている事務の作業を頼む。」

それだけ言うと、南川課長は先にデスクへ戻って行った。

その後のなんと慌ただしかった事。

あっという間に定時を迎えたというのが本音だ。

南川課長と向かったのは、長いお付き合いのある取引会社。

書類の事で何度か問い合わせをした事がある営業担当の方が私を見て、丁寧に挨拶をしてくれた。

「あなたが武田さんですか。いつもお世話になっています。」

私はそんな雰囲気にホッとした。

「こうやって会社同士の関係を築いていくんだ。」

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