愛の距離がハカレナイ
私より先にそう反応したのは、後からやって来た香澄だった。

「篤志は私にそんな話した事なかったじゃない。」

ちょっとむくれた香澄が可愛い。

「香澄に話したら、絶対武田さんにしゃべっちゃうだろう?」

篤志さんが香澄の頭を撫でる。

その様子を見て、祐介の手に力が入った。

「祐介?」

私は祐介の顔を見上げる。

「いいな、俺達も結婚しようか。」

「何言っているのよ、こんな所で。」

思わず叫んだ私を、篤志さんと香澄がにっこりと笑う。

「まあ、のろけはこれから聞くから、入ってよ。」

香澄の言葉に、私はぐっと押し黙る。

「自分の気持ちを正直に言葉に出来るってホッとする。」

< 47 / 155 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop