愛の距離がハカレナイ
「今は仕事に集中しましょう。また時間をちゃんと作って、ゆっくり話を聞きたいものだわ。」

私は香澄にうなずいて、もう一度パソコンの画面を見た。

そんな事をさらっという香澄だって御主人とのなれそめは…。

私の意識はまた違う所へ飛んでしまった。

大学時代の先輩のお誘いに、デートと気が付かずにずっと一緒に出掛けていた香澄。

そんな自覚のない香澄に、業を煮やした御主人はある日…。

そう言えば、私も香澄のその鈍感さに当時はハラハラしたものだったけど…。

自分の事より、他人の事の方が良く分かるという事らしい。

もうあれから3年か。

私の顔に笑みが浮かぶ。

それ以来御主人の平川篤志さんも入れて、4人で出掛ける事も多い。

「武田さん、この書類なんだけど…。」

「はい、何かありましたか?」

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