愛の距離がハカレナイ
確かに仕事はたくさん残っている。

でもどれも〆切にまだ間がある。

それにこの状況、誰が南川課長の言葉に逆らえるだろうか。

「ではお言葉に甘えて帰ります。」

私はそそくさと帰る支度を始めた。

その様子をうなずきながら眺めている南川課長。

「そうだ、今度いつものお礼も兼ねて、食事でもご馳走させてもらおう。」

そんな南川課長の言葉に私は思わず振り返った。

「南川課長…?」

「まあ、何を食べたいかゆっくりと考えておいて。じゃあ、お疲れ様。」

何だかニコニコと機嫌よく自分のデスクに戻っていく南川課長。

私はその背中を唖然と見つめていた。

「やばいよ、阿里。」

すかさず香澄が私に声を掛けて来た。

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