愛の距離がハカレナイ
私は南川課長に声を掛けられた。

営業課の課長、南川輝士(みなみかわてるし) 35歳。

いつもながらクールなそのいでたち、いかにも仕事が出来そうだ。

「いや、先方の指示で少し変更して欲しいんだけど。」

私は書類を受け取りながら、ホッとする。

南川課長の仕事は、特にミスは出来ない。

なぜなら怒られるわけではないのだが、どうしてそういうミスになったのか、しつこく聞かれるからだ。

そんなミスをする時の理由は決まっている。

仕事に集中できていないから、見直しをすり抜けてしまう。

いわゆるうっかりミスだ。

もちろん集中できない理由は疲れとか、他に気になる仕事があるとかいろいろとあるのだが。

南川課長は書類を私に渡すと、指示を始めた。

「一応赤で記入したから。」

< 6 / 155 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop