愛の距離がハカレナイ
8
「いらっしゃい、祐介。」

そう言って出迎えた私を、祐介はぎゅっと抱きしめた。

「ゆう…、」

唇なんて簡単に封じ込められた。

「阿里、結婚しよう。」

「もう、祐介‥。」

あれ…?いつもの感じとは違う…?

「取りあえず中に入ってよ。話は祐介が落ち着いてから。」

私は祐介の肩をポンポンとたたく。

「ごめん…。」

祐介ががっくりとうなだれた。

「とにかくご飯にするから、ねっ。」

祐介はまだ少し顔を強張らせていたが、ゆっくりと私に頷いた。

夕食時、祐介が何か話し出すのではないかと思って、私は様子を伺っていたが、結局はたわいもない話に終始した。

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