愛の距離がハカレナイ
私は一度うつむくと、勢いよく顔を上げた。

「大丈夫ですよ、南川課長。ご心配をお掛けしました。」

そして私はパソコンに向かって、凄い勢いで書類を作成し始めた。

南川課長はそんな私に声を掛けられず、自分のデスクに戻って行った。

どれくらいの時間、そんな風に仕事をしていたんだろう。

「…阿里。」

私はその呼びかけにそっと顔を上げた。

「まだ終わらないか?」

「祐介‥。」

思わず名前がこぼれてしまった。

私の表情はどんな風に祐介に映っているんだろうか。

「もう二人っきりだ。」

そんな祐介の言葉に私は周りをきょろきょろと見渡す。

「本当だ…。」

< 78 / 155 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop