君と二度目のお別れをします。
私は手を合わせて目を閉じると、透也に届くことを願って心の中で彼に語りかけた。
透也。私、結婚することにしたよ。
相手は同じ会社の千堂 一貴さん。
うちの会社の社長の御子息だし、3年前は営業本部長をしてたから、透也も知ってるよね。
透也がいなくなってから、いろんなことがあったよ。
透也と結婚して一緒に人生を歩むことは叶わなかったけど、私はやっと透也がいない世界で前を向いて生きていけると思う。
だからいつかまた会える日まで、私のことを見守っててね。
長い時間閉じていた目を開いて遺影の透也にそっと笑いかけた、そのとき。
『……っざけんな!』
耳元でものすごーく聞き覚えのある声が響いたような気がした。
「え?」
遺影の中で変わらず私を見ている透也を数秒見つめ、それから彼のご両親を振り返る。