ロミオは、愛を奏でる。

井上さんとは

それからたまに食事に行くようになった



仕事の話より

リョーちゃんの話が多かった



家が近所で子供の頃から一緒で

お兄ちゃんと同じ歳


今は海外で働いてて

なかなか帰って来ない



井上さんはいつも

優しく聞いてくれた



「ごちそうさまでした
今日もおいしかったです」



「よかった
廣永に喜んでもらえると
オレも嬉しいよ」



「お酒もおいしかったですね」



「今日は結構飲んでたね、廣永
大丈夫?」



今日ちょっと飲み過ぎたかな…

足が浮腫んでヒールが辛い



「大丈夫ですよ」



「ちゃんと家まで帰れる?」



「はい、ぜんぜん大丈夫です」



井上さんに腕を掴まれた



「廣永、ちゃんと歩けてないよ」



立ち止まった場所から

ホテルの看板が見えた



「帰れないかもしれません」



井上さんは少し困った顔をした



リョーちゃんも

私が泣いた時

こんな顔をしてた



井上さんに迷惑かけてる


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