ロミオは、愛を奏でる。

本社の歓迎会の帰り



タクシーを拾うために

繁華街を抜けて大通りに出ようとした



イト?



繁華街の人混みの中

隣にはスーツの男性がいた



イト、だよね?



あー…

やっぱり遅かったかも



「イト?」



イトだって確信する前に

名前を呼んでた



「リョーちゃん!」



髪を触った腕に

オレがあげた腕時計があった



揺れた髪から

甘い匂いがした



やっぱりイトだった



「廣永の知り合い?」



隣にいた男性の声がした



「はい」



「じゃあ、廣永、気を付けて帰れよ」



男性は軽く会釈してオレの横を通りすぎた



イト

この人が好きなの?


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