ロミオは、愛を奏でる。

「リョーちゃん、帰ってたの?」



「うん、先週帰国して
本社近くのマンションにいる
まだ実家は帰ってない」



「そーなんだ
今回は、どれくらいいれるの?
また何か用があったの?」



「用はなくて…
国内勤務希望したから…」



用事なんてないよ

イトに会いたかった



イトは

会いたくなかったか…



一緒に大通りまで歩いた



周りが騒々しくて声が聞き取りにくかった


声のトーンを上げて一生懸命話すイトが

かわいかった



「リョーちゃん今日もマンションに帰るの?」



「うん」



「私も行ってみたい!ダメ?」



「いいよ
今度、休みの日に…」



「今日は?
これから一緒に行く!」



「これから?
だって…」



「明日、休みだし…
リョーちゃんは?明日仕事?」



「いや…休みだけど…」



すぐにYesとは言えなかった



「あ…そっか…」



イトが何か悟ったように言った



「なに?」



「誰か、いるの?」



誰か?



「誰もいないよ
オレ、ひとりだけど…」



イト

そんな気使えるんだ



いないよ

そんな人



それよりオレは

さっきイトといた人が気になるけど…



イトこそ

オレのマンションなんか来てもいいの?



「リョーちゃんの住んでるところ
見てみたいな…」


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