ロミオは、愛を奏でる。

「廣永、おはよう」



「井上さん、おはようございます」



「金曜、大丈夫だった?」



「ごちそうさまでした
おいしかったですよ!

あ、ちょっと待ってくださいね
出産祝いパーティー
今、お店決めてるので…」



「大丈夫って、そっちじゃなくて…
もしかして、あの人?」



「え…?」



「リョーちゃん

廣永の王子様」



王子様とか言われると

恥ずかしくなる



「はい…」



井上さんに散々いろんなこと話したし…



「日本にいるの?」



「帰って来てたみたいです」



「大丈夫?」



え?



「はい…」



大丈夫?が何を意味してるのかわからなくて

とりあえず頷いた



「近くにいるのに
廣永、不安そうな顔してる

気のせいか…ごめん…
とりあえず、よかったな」



リョーちゃんのマンションに泊まったけど

次の日一緒に帰って

その後なにもない



私からもリョーちゃんからも連絡してない



日本に帰って来てたのも教えてくれなかった

私が会いたい人だったら

真っ先に連絡するよね?



あの後も会いたかったら

連絡くれるよね?



リョーちゃんは優しかったけど

また不安になった



大丈夫?

じゃないかも…



「井上さん、私達って…」



私達の関係は

不倫でしたか?



リョーちゃんにそぉ思われたことも辛かった



「井上さん、いっぱい話聞いてくれて
ありがとうございました」



「今度は、本人に伝えなよ
廣永の気持ち

せっかく近くにいるんだからさ
言わなきゃわかんないんだよ、男って…」



言わなきゃ…



リョーちゃんに言えるかな?

私の気持ち



「…」



「廣永、言えなそうだな」



井上さんは何でもお見通し



「まぁ、近くにいたら
そのうち気付くんじゃない?

廣永らしくしてたら
きっと彼は廣永の魅力に気付くよ

離れるなよ」



私らしく

リョーちゃんの近くにいよう


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