ロミオは、愛を奏でる。

マンションで星も見せてくれた



どこでも見れるよ

でもリョーちゃんのマンションで

星を見るのが好きだった



「イト、また見てんの?」



リョーちゃんが隣に来てくれるから



リョーちゃんも見てよ

今日もキレイだよ



窓のフレームから

リョーちゃんと同じ景色を見てると

この世界にふたりしかいないみたいで

幸せな気持ちになる



毎日リョーちゃんのことばっかり

毎日リョーちゃんを独占してる



お兄ちゃんに言ったら

リョータは忙しんだから!って

怒られるかもしれない



リョーちゃんは

私以外の誰かに会わなくていいのかな?



「リョーちゃん
私、邪魔じゃない?」



「邪魔って?」



「リョーちゃん、仕事忙しいのに…」



「邪魔だったら、会ってないよ」



リョーちゃんは優しいから

邪魔なんて言わないか…



「私がここに来てたら
ここに誰も呼べないよ」



「誰?誰、呼ぶの?」



「んー…友達とか…」



好きな人とか…

彼女とか…



「イトは?
最近、あの人と会社の帰り会ってないの?
いつもここに来てるか、
オレと電話してるからさ…」



あの人…

井上さん?



リョーちゃん

まだ疑ってる?



「会ってないよ」



「イト…
寂しい?」



「ん?なんで?」



「たまに、すごい寂しそうな顔するから…」



「そーかな…」



リョーちゃんは近くにいるのにね

リョーちゃんが隣にいてくれてるのにね



いつかリョーちゃんが

ここで一緒に星を見る人を連れて来たら

私はひとりで

ずっと下から星を見てる



そんな私を想像したら

辛くなる



「ほら…また…」



リョーちゃんに頬をつねられた



「ごめん…」



リョーちゃんと私は

ずっとこの関係かな…



「リョーちゃん…

不倫じゃないから…

私、不倫なんてしてない

井上さんとは
ホントそんな関係じゃなくて…」



「うん…ごめん…

この前、そんな言い方して…」



井上さんとはそんな関係じゃなくて

ホントに私はリョーちゃんだけだから



そんな一途な気持ちも

虚しくなる時がある



辛くなるのも

寂しくなるのも

虚しくなるのも



リョーちゃんの気持ちが

わからないから



リョーちゃん

好き



今日も心の中で星にしか言えない


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