ロミオは、愛を奏でる。
リョーちゃんにギュッって掴まれた手
まだ感触がある
前に並んでる女の子と男の子が
仲良さそうに話してた
制服着てるから高校生かな…
手を繋いでた
いいな…付き合ってるんだ
リョーちゃんからもらった腕時計を
右手で握った
私も繋ぎたいな…
「イト?どーした?」
「ん?
かわいいな…って思って…」
リョーちゃんも前の高校生に視線を向けた
「制服とか、懐かしいな…」
私とリョーちゃんは
一緒に制服の時期もなかった
懐かしいな…
きっとリョーちゃんは
今、珠莉ちゃんを思い出してる
「イトと一緒に動物園行ったの覚えてる?」
「うん、覚えてるよ
キリン見たよね!」
「イト、マントヒヒ見て泣いたけどね」
「だって、こわかったんだもん
キーーー!って
お母さんマントヒヒが来て…」
「子供を守るために凶暴になるからね」
「水族館も行ったよね!」
「うん、行ったね
イルカショーでユートが選ばれて前に出て
ユート、イルカと握手する時
ガチガチだったよね」
「うん、お兄ちゃん手あげてないのに
そこの青い服の子って選ばれてたよね
隣で手を挙げてたリョーちゃんと
間違えられたんじゃない?」
「イトは修学旅行どこだった?」
「沖縄だったよ
海、綺麗だった!」
「へー…
今、その時の彼氏のこととか思い出した?」
「思い出してないよ!
あ、大学の時、友達と海外旅行行ったよ!
だからわたしもパスポートあるよ」
「あ、話そらした」
「もぉ、いいじゃん!
でも、友達がスリにあって
それから怖くて1回も行ってないんだ
リョーちゃんは怖くないの?」
「んー、オレはね
日本にだって悪い人はいるし
どこにいたって危険はあるよ」
「リョーちゃん、もぉ何ヶ国ぐらい行ったの?」
「んー…5かな…」
「すごい!」
子供の頃の思い出
私の学生時代の話
リョーちゃんの仕事の話
話してたら
あっという間に時間が過ぎた
「リョーちゃん…
あの時の…」
「次の方〜
こちらの線までお進みください」
あ…
「ヤベー…ドキドキしてきた
オレ、こーゆーの久しぶりだから…」