ロミオは、愛を奏でる。

観覧車だった



リョーちゃんは

いつもイジワルだけど

いつも優しい



「コレなら、乗れる?
前も一緒に乗ったよね」



「うん」



前に乗った時は

私とリョーちゃん

お兄ちゃんとリオちゃんもいた



今日はリョーちゃんとふたり



「一緒に乗った時
イトがたしか小学生で
オレとユートが中学生で
リオがもう一回乗りたいって泣いたよね」



「うん
そしたら、リョーちゃんが
リオちゃんのこと怒って…」



「だってムカついたんだもん
無理だっつってんのに…」



「リオちゃんまだちっちゃかったのに…」



「イトはちゃんということ聞くのに
なんでコイツは…って
あの時、イトがオレの妹だったらな…って
交換したいな…ってマジで思った」



リョーちゃんの妹だったら…



カッコよくて優しいお兄ちゃん



リョーちゃんがお兄ちゃんだったら…



リョーちゃんのこと

好きになっちゃいけなかった



でも

リョーちゃんがリョーちゃんでも



リョーちゃんを好きになることができても

リョーちゃんは私のこと…



ズキン…



言わなきゃわかんないんだよ、男って…



リョーちゃん

私はリョーちゃんが…



「…好き…」



「…」



リョーちゃんからの返事はなかった



聞こえなかったか…

ならよかった



リョーちゃんを見たら

リョーちゃんも私を見てた



ドキン…



聞こえた?…よね?



返事がなかったってことは

それが答えなの?



ズキン…



「あ、今流行ってるゲーム!
『好き』って言って
先に笑ったり照れたりした方が負けなの!」



今、咄嗟に考えた嘘



「へー…
オレ、そーゆーの絶対負けないから!」



嘘なのに

リョーちゃんがのってきた



「じゃあ、私から言うよ!」



「うん、いーよー」



「いくよー

リョーちゃん、好き…」



「うん」



「大好き♡」



「ありがと」



「大大…大好き!」



「はい、はい」



「好きだよ!リョーちゃん」



ゲームだよね?



「うん、知ってる」



「リョーちゃん…
ずっと、好きでした」



気持ちが溢れる



なんか、泣きそう



「ごめん、オレ…
ずっと好きな子いるから…」



え…



ゲームだよね?

嘘だよね?

リョーちゃん



「イト?…終わり?
オレ、まだ照れてないけど…」



「うん、終わり、終わり…
リョーちゃん、ぜんぜん照れなくて
つまんないから、やめよ」



涙を堪えた



ずっと好きな子いるから…



ホント?

リョーちゃん好きな人いる?

ホントだったらヤダな…



リョーちゃんが見れなくて

窓から外を見た



「イト、好き…」



え…



ゲームまだ続いてる?



「イト、キスしよ」



リョーちゃんが急に近くなって

観覧車が揺れた



ドキン…



「あ、今、イト照れた!
オレの勝ち!
イト、弱すぎ」



なんだ

まだゲーム続いてた



ちょうど観覧車が下について

ドアが開いた



だよね

本気なわけない



「もぉ1回乗りたいな…」



リョーちゃんが言った



「リオちゃんみたいだね」



私もホントはもう1回乗りたかった

リョーちゃんとなら1周でも2周でも…



でも何周しても

きっと

リョーちゃんは…


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