ロミオは、愛を奏でる。
リョーちゃんに選んでもらった
ネックレス
さすがにリングがいいとは言えなかった
マンションに戻って
リョーちゃんが
ネックレスをつけてくれた
「うん…イト、かわいいよ
似合ってる」
「ありがと、リョーちゃん
こーゆーの欲しかった」
好きな人が選んでくれたアクセサリー
「イトが喜んでくれるなら
オレ、働いたかいがあった
…
よかった
イトが笑ってくれて…」
リョーちゃんは
どんな意味で買ってくれたの?
ゲームに勝ったから?
「ねぇ、イト…
オレ、もぉ限界かも…」
急にリョーちゃんの声が真剣になった
限界…?
え…
リョーちゃん?
もしかして
また遠くに行くの?
だから買ってくれたの?
腕時計もそぉだった
「リョーちゃん、私はずっと…」
リョーちゃんの近くにいたい
「イト…
…
オレ、ずっと好きな人がいる
…
さっき観覧車で言ったアレは…
ゲームじゃなくて…」
やっぱりリョーちゃん
好きな人がいた
長かった片思いの
答えが出た
息が止まって
その代わりに
涙が出た
「泣くなよ…イト…」
泣きたくないけど
ボロボロ涙が溢れた
リョーちゃんの指が私の頬に触れた
「イト…
…
笑ってるイトも
寂しそうなイトも
全部、抱きしめたくなる
…
イトがオレに好きって言ってくれたの
覚えてる?
…
イト、かわいかった
今でも鮮明に覚えてる
…
でも今は
あの時よりもかわいくなってて
会うたびにどんどんかわいくなってて
今日もかわいい
…
もぉ限界かな…
…
イトがまだ
あの人のこと気になってるなら
オレ、ずっと待ってるから…
…
オレ、イトが好きだから…
オレと付き合ってほしい」
信じられなかった
リョーちゃんが
ずっと好きだった人は
私なの?
ホントに?
目の前にいるリョーちゃんが
滲んで見える
「リョーちゃん、また、ゲーム?」
耳に届いた言葉が信じられない
リョーちゃんは滲んで
そのまま消えちゃうのかも
「ゲームだったら、オレ負けじゃん
今、オレ、本気で照れてる…
…
ホントは待ってる余裕なんてなくて
オレのこと好きにさせるから…
だから…
とりあえずとか言いたくないけど…
イトがオレの彼女になってくれたら嬉しい
…
それぐらい、イトが好き…」
リョーちゃん
ホントに?
ずっと大好きだったリョーちゃんが
好きだって言ってくれてる
片思いだと思ってたのに…
「リョーちゃん…
私は、リョーちゃんが好き…
…
リョーちゃんも、信じて…
ずっと…ずっと好きだった
…
リョーちゃんに、告白したあの時から…
…
リョーちゃん…どーしよ…
リョーちゃん…」
どーしたらいいかわからないくらい
嬉しくて
どーしたらいいかわからないくらい
リョーちゃんが大好き
リョーちゃんがそっと抱きしめてくれた
「ごめん…イト…
…
寂しい思いとか辛い思いさせて
ごめん…
…
ずっと好きでいてくれたの知らなかった
ありがと…イト…」
全部全部…
リョーちゃんの気持ちが嬉しくて
涙が止まらなかった
「イト、どーしたら、涙止まる?
…
オレのせいで泣いてんのにね
ホント…ごめん…」
「わかんない…わかんないよ…」
「じゃあ、いっぱい泣きな…」
哀しくて泣いた涙が
いつの間にか
嬉し涙に変わってた
リョーちゃんの胸で泣く私を
リョーちゃんの大きい手が
優しく撫でてくれた
20年以上の片思い
ドキドキしたことも
キュンキュンしたことも
寂しかったことも
辛かったことも
今、幸せな気持ちも
全部混ざった涙
大好きなリョーちゃんの胸に沁みた