ロミオは、愛を奏でる。

「イト…?朝は、ごめん」



お店から出たらリョーちゃんから電話がきた



歩きながら話した



「リョーちゃん、今ハンバーグ食べてきた」



「ハンバーグ?」



「それからエビフライ!」



「あー、あの店ね…
誰と?」



「ひとりだよ」



「…ごめん…一緒に行けなくて…」



「おいしかったよ!
クリームソーダも食べた

リョーちゃんは?
今日、何食べた?」



「んー…オレは今起きた」



「そっか…」



リョーちゃんのいるところは

日付も違う



今、星も見えてない



「イト…愛してる」



「うん…ありがと…」



声は近くで聴こえるのに…



「イト、2年目もよろしくね」



「うん…
リョーちゃん、もぉ少し寝れるんじゃない?
私に合わせて起きてくれたんでしょ」



「あー…うん…」



「じゃあ、オヤスミ」



「うん、オヤスミ
気を付けて帰れよ
送れなくて、ごめん…」



「んーん、大丈夫だよ」



地面に伸びた影は

私ひとりだった



リョーちゃん

ごめんって何度も言ってた



大好きって

愛してるって

何回も言ってくれた方が嬉しいのに…



2年目もよろしくね

こちらこそって

言えなかった



ごめんね

リョーちゃん



リョーちゃんがいなくなって

1ヶ月以上経つのに

まだリョーちゃんのタバコの匂いがする気がする



なのに

隣にリョーちゃんはいないんだ


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