ロミオは、愛を奏でる。

「腕時計つけて帰ろーかな…
リョーちゃん、つけて!」



箱から出してリョーちゃんがつけてくれた



リョーちゃんの指先が

イトの手首に触れた



それだけで

少し緊張する



昨日

イトを抱きしめた腕



ドキン…



「はい…
うん、イト似合ってるよ」



「ありがとう…リョーちゃん」



リョーちゃん?



リョーちゃんの手が

イトから離れなかった



ドキ…

ドキ…

ドキ…



「イト、ありがと
今日、一緒に来てくれて…」



「うん…」



もぉ、お別れだね

リョーちゃん



私もリョーちゃんと一緒にいれてよかったよ

ホントはもっと一緒にいたいよ



リョーちゃんは

イトの手を握ったまま

駅の方に歩いた



ドキ…

ドキ…

ドキ…



このまま

外国まで連れて行ってほしいな…



リョーちゃん

もぉ行っちゃう?

今度はいつ会えるかな?



「イト、元気でね」



「うん、リョーちゃんもね…」



「イト、寂しくない?」



「うん…
リョーちゃんの腕時計あるから、大丈夫」



ホントは大丈夫じゃないよ



寂しいって言ったら

リョーちゃんはイトの近くにいてくれる?



好きだよって言ったら

昨日みたいに抱きしめてくれる?


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