ロミオは、愛を奏でる。

リョーちゃんがプラリネを切ってくれた



「いつも端っこは
イトが食べる決まりだったよね」



「決まりなんかじゃないよ」



「だってイト泣くもん」



「もぉ泣かないよ」



リョーちゃんは

もっと哀しんでると思ったけど

意外と明るく笑ってた



礼服のネクタイを緩める手にドキドキした



「リョーちゃん
叔父さんとお別れできた?」



「うん…
いい顔してた
だから、オレも泣かなかった」



「そっか…」



「それより、さっき小耳に挟んだけど
ユートたち、ふたり目できたなんて
オレ聞いてないけど!」



「うん
私も2、3日前に聞いたばっかりだから…」



「オレもユートの子供見たいな
写真は見せてもらったけど…」



「ちょっと喋るようになったよ
かわいいよ」



「明日行こうかな…」



「うん
お兄ちゃんも珠莉ちゃんもきっと喜ぶよ」



「イトは?
イトは行かないの?」



「私?」



「あ…なんか予定あった?」



「別にないよ
一緒に、行く?」



「うん一緒に
じゃあ、明日ね」



「うん」



「イト、チョコついてる」



「どこ?」



リョーちゃんが笑った



「イト、変わんないね
いつもベロで舐めるの」



「もぉ…恥ずかしいな…」



「ついてないよ
舐めるだろうな…って思って言っただけ」



「もぉ…」



リョーちゃん

ずっと見てないでよ



恥ずかしくて

食べれない



「イトは、いつまでもかわいいな…」



いつまでも…



今でもベロで舐めちゃうし

今でも自分勝手だけど



リョーちゃん

いつまでも

子供扱いしないでよ


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