また君と恋する
「あっ、そーだ」

そんな声が耳に入って、思わず背筋が伸びる。

部屋に戻ったと思った早瀬君はまだ階段前にいた。

「俺のこと『早瀬君』じゃなくて、『志希』って呼べば? 付き合ってた頃みたいに」

無邪気に歯を見せて笑う早瀬君。

それだけ言い残して、私の返事も聞かず階段を上がっていった。


「はぁ……」

言葉にならない感情が深い息とともに出ていく。


────ああ、もう!


ほんと、好き!


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