また君と恋する
門扉の前に佇む私服の男子。

男子特有の骨が目立つ身体、毛先が無造作に跳ねる黒髪、太陽に照らされて煌めく茶色の瞳。

いつも通り大きめのジャケットを気だるげに羽織っているけど、見慣れたその恰好も今日みたいな日は特別に見える。

その立ち姿に見惚れていると、横目に視線をこちらへ向けた彼────早瀬 志希と目が合った。

「はよっ」

「おはよ。まだ行ってなかったんだね」

先に家を出たからてっきりもう行ったと思ってた。

「んー。どーせ、後で待ち合わせするんだから一緒に行こうと思って待ってた」

「えっ! いつから?」

「10分くらい前かな」

「そーだったの。早く言ってよ。そしたら虹心と遊ばないですぐ出てきたのに」

私が言うと、志希は楽しそうに笑った。

その笑顔を見るだけで残っていた眠さが吹き飛ぶ。
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