また君と恋する
「他のクラスが書き終わって帰る中、D組だけ全く書けてなくて」

「うん、覚えてる。どうせなら他のクラスよりすっごいものにしようって目標だけ高く持って、結局時間だけ過ぎていったの」

「それで、最後の最後に誰かが『黒板アートにしよう』って、美術部だった由麻に任せた。自分達で勝手に目標を高く持ったくせに最後は全部由麻に押しつけて、その上、無茶苦茶なお願い」

うんうん、と頷きながら当時のことを思い出す。

その場にいた私達以外知らない裏エピソード。

「断ればいいのに、由麻は引き受けた」

「……ははっ。私も無理だと思った」

「で、他の奴は帰って、由麻1人で描く羽目になった」

「まさか帰るとは思わなかったんだもん……って、描き終わるまでずっといたの?」

「1人でも描き続ける由麻を見て帰れるわけねーよ。後ろのドアから見てた」
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