また君と恋する
「最低」

「有馬のせいで台無しじゃん」

「わざとじゃないの。この前叱ったから」

非難の声が集中し、最悪の空気になった。

それでも団長だけは持ち直し、

「とにかくどーしようか、石原」

と落ち着いて声をかける。

「どーしよって言われても。こんなの修正できないし、今から描き直すにしても時間も人手もない。正直、無理……」

人手と時間、か。

俺は絵のことなんて全く分からない。

最悪の状況なのは分かるけど、ここからどうすればいいかなんて1つの策も出ない。

だからこそ。

咄嗟にある人物の顔が浮かんだのかもしれない。
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