また君と恋する

「こんにちは」

いつもの愛想を作らず挨拶する、有馬さん。

昨日は休んだって聞いたけど、今日は来てたんだ。

「横断幕、跡形もなく綺麗になってるでしょ。やってみればどうにでもなるもんだよね。だから……」

「『だから気にする必要はない』って言いたいんですか」

ビックリした。

あまりにも抑揚のない低い声で言うもんだから。

それに対してカッチーンときたのは深丘だった。

「なにその顔。小悪魔やめたの？」

「ムカつくんですよ。横断幕を台無しにしたのも先輩達の関係を滅茶苦茶にしようとしたのもあたしなのに、一切責めないなんてバカじゃないですか」

「バカ……」

言葉そのままの意味でバカと面と向かって言われたのが初めてで絶句する。

「責める気はないけど、あたしは今すっごく殴りたい気分」