また君と恋する
「なんか体育祭の時と違くない?」

「体育祭?」

「結大君が撮ってくれた写真をいらないって」

「……ああ、あれね」

言いにくそうに顔を逸らす志希。

言葉を待っていると、横目で目を合わせながら口を開いた。

「あれは、“他の男が撮った”由麻の写真はいらないって意味」

そういう意味だったの?

言葉足らず! と言いたくなって、でも呑み込んだ。

仕方ないか。

あの時はまだ付き合ってなかったから、そのままの言葉で言っていたら意味ありげに聞こえちゃうもんね。

「妬いてくれたってことだよね。それならちょっと嬉しいかも!」

「嬉しいって……。俺は結構ムカついたんだけどね」

むすっとする志希がなんだか愛おしく思えた。

なんで前に付き合っていた時はこういう志希の姿を見過ごしてきたんだろうって。

何を考えているか分からなくて不安に思うことは今でもあるけど、ちゃんとこういう素直な一面もあるんだって今なら分かるのにね。
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