また君と恋する
それなら、選んで選ばれて進んできた志希の今が、すべて無駄じゃなかったって思えるような存在になりたい、って心から思える。

話し終えて志希は、コーヒーを一口含んだ。

「やっぱり苦いな。ミルクと砂糖ちょーだい」

ずるいって言ったの、訂正。

我慢するの可愛い。


「あっ、湊君」

勉強の休憩なのか、湊君が下りてきた。

「何飲んでるの?」

「コーヒー。湊君も飲む?」

「いや。俺、飲めない」

湊君はそう言うと、冷蔵庫からペットボトルのお茶を取って、すぐ部屋に戻ってしまった。

今までだったら声をかけても反応が薄かったのに、バーベキュー以降、会うと一言でも言葉を交わすようになった。

いい傾向。

……だけど。そういや、湊君は知ってるんだよね。
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