また君と恋する
「てか、まだ持ってたんだ、キーホルダー」

「えっ。うん。捨てられないよ」

「そっか」

志希は、頬杖をつくように手で口元を隠した。

いまいち表情が読み取れず、どういう思いでそう呟いたのか私には分からなかった。

「それで思ったんだけど、私たちのことみんなに話した方がいいのかな?」

「考えたことなかったな。今まで聞かれなかったから言わなかっただけで、秘密にしてたつもりもねーし」

「そーなんだよね」

どうしようか、と考えて。

結局、はっきりと『こうしよう!』という答えは出なかった。


学校は文化祭準備一色になる。

そうなると私達の噂も落ち着きを見せてきた。

体育祭と違って、文化祭は元美術部の私が役に立てる行事。

実行委員でもないのに、あちこちの飾りつけやポスター作りに駆り出される。
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