また君と恋する
「葉石?」

ふとそんな声が聞こえたのは、自己嫌悪に陥りそうになった時だった。

展示物ばかりで人通りがない場所とはいえ、全く人がいないわけではなく、現に在校生や保護者とすれ違った。

なので、声をかけられたことには然程驚かなかったけど。

呼ばれて振り返って、そこにいた人物に驚かされた。

「広田君!?」

「あ、やっぱり葉石だ!」

「ヒロ、知り合いかー?」

「うん。先に行ってて」

同じ中学校の同級生で志希の友達の広田君。

ショッピングモールで会って以来だ。

「今のは高校の友達?」

「そう。あいつらもこの学校に友達がいるらしくてさ」

「それじゃあ、広田君も志希に会いに来たの?」

「うん。さっき少し会ったけど、忙しそうだったからまた後で行こうかと思って。そしたら葉石らしき人を見かけて、声かけちゃった」
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