また君と恋する
「思ったことって言われてもね。志希君と由麻ちゃんの表情を見れば相当悩んだことが分かるから、そんな2人に厳しく言うつもりはないわ」

「先生の言うことも分かるけど、志希君と由麻ちゃんだからね。野暮な心配だと思うよ」

お婆ちゃんとお爺ちゃんが穏やかに言葉をくれる。

「もっとわがままになっていいよ」

そして、真宮さんも。

話を続ける。

「うちは、妻を亡くしているからね。一緒にいたくてもいれない。生きているうちにしてやりたかったことがいっぱいあったし、そういう後悔がたくさんある」

「……」

「だから余計に思うんだよ。どんなことがこの先に待っているか分からないから、今の一瞬一瞬を大切にしないといけないって。志希君と由麻ちゃんは、自分達の今の想いを何よりも大切にしてほしい」

それを聞いて、冬鳴さんも自分の話を始めた。
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