また君と恋する
「おお!すごっ!」

「すげーな」

「超うま」

初めて俺は、絵に目を奪われた。

青空の下、堂々と佇む1本の木。

雄大。

ただその一言を、表すような絵だった。

「すごいだろ、それ。だけど、特別上手いわけでもないんだ」

先生がそんなことを言う。

「いや、俺より上手いよ」

「そりゃ当たり前だろ。美術部なんだから」

「ははっ。まあ、普通の人よりは上手いだろうけど……他の美術部員の絵を見てみろ」

同じように立てかけてあるキャンバスをいくつか表に返してみる。

人物の絵、自然の絵、学校のどこかで描かれた絵。

どれも上手い。

「ほんとだ。他の絵と比べると上手くねーな」
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